ひとことで言うと
利上げとは、日本銀行などの中央銀行が「政策金利」を引き上げることです。銀行がお金を貸すときの金利や預金の金利が上がりやすくなるため、住宅ローンや預金など、家計にも影響が出てきます。
くわしい意味
日本銀行は、物価の安定を目的に金融政策を決めています。その中心となるのが政策金利で、日本では「無担保コールレート(オーバーナイト物)」という、金融機関どうしが1日だけお金を貸し借りするときの金利が目安になっています。
たとえるなら、政策金利は「お金のレンタル料の基準」です。基準が上がると、銀行が個人や企業に貸すときの金利や、預金につける金利もつられて上がりやすくなります。
- 物価が上がりすぎているとき:利上げ(金融引締め)でお金を借りにくくし、物価の上昇を抑える
- 景気が弱いとき:利下げ(金融緩和)でお金を借りやすくし、景気を支える
日本の政策金利の流れ(2026年10月時点)
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後、段階的に利上げを進めてきました。2026年6月に政策金利を1.0%程度へ、2026年9月の金融政策決定会合では1.25%程度へ引き上げています。次の利上げの時期は、物価や景気の状況を見ながら会合ごとに判断されます。
| 影響を受けやすいもの | 利上げで起こりやすいこと |
|---|---|
| 変動金利の住宅ローン | 適用金利が上がり、返済額が増えることがある |
| 預金 | 預金金利が上がり、受け取る利息が増えることがある |
| 固定金利のローン | 新しく借りる場合の金利が上がりやすい(借りた後の金利は変わらない) |
| 債券 | すでに発行された債券の価格は下がりやすい |
| 為替 | 一般的には円高の要因とされるが、海外の金利など多くの要因で動く |
生活での例
3,000万円を35年・元利均等返済で借りている変動金利の住宅ローンで、適用金利が年1.0%から年1.25%に上がった場合を考えます(概算・金利がその後変わらないと仮定)。
| 適用金利 | 毎月の返済額 | 35年間の利息の合計 |
|---|---|---|
| 年1.0% | 約8万4,700円 | 約557万円 |
| 年1.25% | 約8万8,200円 | 約705万円 |
0.25%の差でも、毎月の返済額は約3,500円増え、仮にこの金利が35年続くと利息の合計は約148万円多くなる計算です。ただし、政策金利と同じ幅だけ住宅ローンの金利が上がるとは限りません。また、返済額の見直しを5年ごとにする「5年ルール」や、見直し後の返済額を前の1.25倍までにする「125%ルール」を設けている金融機関もあります。
預金の場合は、100万円を普通預金に預けていて、金利が年0.2%から年0.3%に上がると、1年間の利息は2,000円から3,000円に増えます(税引き前)。
なお、リボ払いやカードローンの金利は、もともと年15%前後と高めに設定されていることが多く、政策金利が少し上がっても大きくは変わりにくいものです。返済中の人は、利上げのニュースよりも、手元の借入れの金利と残高を確認するほうが家計への効果は大きいでしょう。
注意点・よくある誤解
- 「利上げ=すぐ住宅ローンの返済額が増える」とは限らない:変動金利か固定金利か、見直しのタイミングなど、契約内容によって変わります。
- 預金金利の上がり方は金融機関ごとに違う:政策金利と同じだけ上がるとは限りません。
- 物価の上昇に預金金利が追いつかないこともある:物価上昇率が預金金利を上回ると、お金の実質的な価値は目減りします。
- 「利上げ=円高」とは限らない:為替は日本と海外の金利差や景気など、多くの要因で動きます。
- 住宅ローンの借換えや繰上げ返済を考えるときは、手数料も含めて試算し、必要に応じてFPや金融機関に相談しましょう。
FP試験ではこう出る
FP3級・2級の「金融資産運用」では、日本銀行の金融政策(公開市場操作の「買いオペ」「売りオペ」)と、金利と債券価格の関係がよく出題されます。「金融引締め=売りオペ・利上げ」「金利が上がると債券価格は下がる」という組み合わせを押さえておきましょう。

