ひとことで言うと
債務整理とは、返済が難しくなった借金を、法律に基づいて減らしたり支払いを免除してもらったりする手続きの総称です。主な方法は「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つで、借金の額や収入、守りたい財産によって向いている方法が変わります。
くわしい意味
3つの方法の大まかな違いは次のとおりです(2026年10月時点の一般的な内容)。
| 方法 | 裁判所 | 借金の減り方 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 通さない | 主に将来の利息をカットし、元金を原則3〜5年程度で分割返済 | 整理する相手を選べる。手続きが比較的簡単 |
| 個人再生 | 通す | 借金を大幅に減額し、原則3年(最長5年)で返済 | 条件を満たせば住宅ローンのある家を残せる場合がある |
| 自己破産 | 通す | 免責が認められると、原則として支払い義務がなくなる | 一定以上の財産は処分される。免責されない債務もある |
たとえるなら、任意整理は「貸主と話し合って返し方を組み直す」、個人再生は「裁判所のもとで借金を圧縮して計画的に返す」、自己破産は「裁判所のもとで借金をいったんリセットして生活を立て直す」方法です。
どの方法でも、債務整理をすると信用情報機関に事故情報として記録され、一定期間は新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。
債務整理を考えるサインの目安
次のような状態が続いている場合は、一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが勧められています。
- 返済のために別のカードやローンで借りる「借りて返す」状態になっている
- 毎月の返済額が手取り収入の3分の1を超えている
- 最低限の支払いをしても、残高がほとんど減らない
- 督促の電話や手紙が届いている
相談が早いほど選べる方法が多くなるのが一般的です。
生活での例
たとえば、カード3枚のリボ払いとカードローンで合計200万円、毎月の返済が手取りの3分の1を超えている場合を考えます。
- 任意整理:将来の利息がカットされれば、毎月の返済額を元金中心に組み直せる可能性があります。
- 個人再生:法律で決まった最低弁済額の基準では、借金が100万円以上500万円以下なら原則100万円まで減額される可能性があります。
- 自己破産:収入に対して返済の見込みが立たない場合の選択肢です。
実際にどの方法が向いているか、いくら減るかは、収入・財産・借入先などによって大きく変わります。自分だけで判断せず、専門家に相談することが大切です。
利息だけで毎月いくら払っているかを確認する
合計200万円の借入れに年15%の金利がかかっている場合、毎月の利息だけで約2万5,000円になります。毎月6万円ずつ返しても、完済まで約44回(3年8か月)かかり、利息の合計は約60万円になる計算です(新たな借入れなし・月割りの概算)。
仮に任意整理で将来の利息がカットされ、200万円を60回(5年)で返す内容で和解できた場合、毎月の返済額は元金だけの約3万3,000円になります。実際に利息がカットされるか、何回払いになるかは借入先との交渉や状況によって異なりますが、「利息にいくら払っているか」を知ることは、相談を考えるきっかけになります。
相談前に用意しておくとよいもの
- 借入先の一覧(会社名・残高・毎月の返済額・金利)
- 契約書や利用明細、督促状など手元にある書類
- 給与明細など収入が分かるもの
- 毎月の家計の収支(おおまかで可)
書類がそろっていなくても相談はできますが、借入先と残高が分かるだけでも話が進めやすくなります。
注意点・よくある誤解
- 「債務整理=人生終わり」ではない:生活を立て直すための法律上の仕組みです。家族の借金になるわけでもありません(保証人になっている場合を除く)。
- 保証人への影響に注意:保証人がついている借金を整理すると、保証人に請求がいくことがあります。
- 「借金がなくなる」とうたう業者に注意:高額な費用を求める業者や、資格のない人による勧誘のトラブルもあります。相談先は公的機関や弁護士・司法書士を選びましょう。
- 相談は無料でできる窓口がある:日本司法支援センター(法テラス)では、収入などの条件を満たすと無料の法律相談や費用の立替え制度を利用できます。
- 相談先の例:日本司法支援センター(法テラス)、各地の弁護士会・司法書士会、日本貸金業協会の相談窓口、市区町村の消費生活センターなどがあります。
FP試験ではこう出る
FP試験では、自己破産をしても税金や罰金など免責されない債務があること、任意整理は裁判所を通さない私的整理であることなど、手続きの違いが問われることがあります。あわせて、総量規制など貸金業法の基本も押さえておきましょう。

